はろはろNIIHAMA ARTプロジェクトのひとつとして「フリーペーパーHoo-JA！」に掲載されるコラムをご紹介します。
アーティストコーディネーター：並河咲耶（なみかわさや）さん
「チャオ！Ciao！イタリアからこんにちは」
10月も半ばを過ぎて、私が住むマントバも少しずつ寒い日が続くようになってきました。家の前に広がる平野の向こうに見える山々の頂は白く、今年は冬の訪れが早いかもしれません。閏年だなんて言っていた２月の終わりから始まったコロナさんとのお付き合いは大変なことも多いですが、いいこともあります。
例えばイタリアに移住して９年で初めて春夏秋冬の移ろいを味わったこともその一つです。普段はマントバから国境も越えて、特に春先は、ツアー目白押しです。それがすっかりどこにも行けなくなって、半径５km範囲では、人より家畜の方が頭数は多いであろう我が家に籠城するようになって、たくさんの新しい発見がありました。周囲に生えているニワトコの花でサイダーを作ったり、ご近所さんから美味しいさくらんぼの木のある場所を教えてもらったり、たわわに実るくるみを採って、ノチーノ（くるみのリキュール）を仕込んでみたり。あっちの家から逃げ出したホロホロチョウを追いかけて、夜はにわでキツネと鉢合わせ。
そんな日々を続けていると、私自身、幼い頃は家族で犬の散歩に出かけるとツツジの蜜を吸ってみたり、シロツメクサで王冠を作ったり、どんぐり・松ぼっくり、なんでも遊びになったことを思い出しました。そうした何気ない家族との日常の幸せが積み重なって、現在、私も母・妻の役割をしていると思うと不思議な感じもしますが、娘が将来、この複雑なコロナの時期のことを、少しでも愉快な思い出として振り返れるよう、毎日を愛しみながら、暮らしていきたいものです。
アーティスト コーディネーター 並河咲耶さん
konjac LLC 代表。イタリアと日本を行き来しながら、子どものための舞台作品を各地に届けている。一児の母。
並河さんがイタリアで所属する劇団の情報はこちらでご覧いただけます。
アーティスト コーディネーター 並河咲耶さん と あかがねミュージアムのご縁
並河さんには『ハナとモモ』のコーディネートをしていただきました。その後、ラ・バラッカとの縁をつないでいただき現在にいたります。
海外から演劇作品のツアーを行うことは本当に多くの課題があります。あかがねミュージアムで世界基準の子どものための演劇が見られるのは並河さんの見巧者としての能力があってこそです。
あかがねミュージアムと同じ方向にビジョンを持つ優秀なコーディネーターに出会えたことを幸せに思います。
（山本清文）
