コラム VOL.08 高見知佳さん

はろはろNIIHAMA ARTプロジェクトのひとつとして「フリーペーパーHoo-JA!」に掲載されるコラムをご紹介します。

高見知佳(たかみ ちか)さん

「思いやりのお裾分け」

歳を重ねた今、子どもの頃の事を思い返して見る。不思議と有り難く暖かな気持ちになる。私が生まれ育った頃は昭和三十年代で、世の中が忙しく動いている時代だった。親も周りの大人の人達も大変な時代であった。そんな昔を振り返ってみた時に、毎日が大変で、苦しく、寂しく、悲しい日々ばかりでは無かったことに改めて気づかされた。子どもながら心が傷つき、この世にたった独りだけと落ち込んでいる時に、近所のおばさん達が声を掛けてくれる。私の心の変化に気づいてくれてのことである。昔の暮らしは何処の家も裕福では無かったけれど、心はみんな豊かであったと思う。自分のことばかりではなく、周りの人達へも気配りが出来ていた。自分達の暮らしと共に近所やその地域、みんなが一体となって子ども達に目を向けて一緒に育ててくれた。だから悪い事をしたら、みんな一緒に叱られ、みんなでお手伝いをした時はご褒美を貰った。子ども達は大人にちゃんと守られて、その大人達の中で育った。守られて育つ中で、強い者は弱い者を守り、みんなで力を合わせて助け合うこと。そして物事の善悪も教えてもらった。今でもその思い出が心の中に蘇る。本当に子どもの頃から多くの人達に支えられて、暮らしてきたことを改めて感謝する。私も育った地から離れて暮らしてきたけれど、今またこうして生まれ育った場所に居る。今ここに暮らし思う事がある。大人になった今でも子どもの頃と変わらない人達が側に居る。そして今も“優しさのお裾分け“を頂いている。

Hoo-JA!コラムVOL.08 高見知佳

 

PAGE TOP