コラム VOL.02 山本清文さん

はろはろNIIHAMA ARTプロジェクトのひとつとして「フリーペーパーHoo-JA!」に掲載されるコラムをご紹介します。

あかがねミュージアム スタッフ 山本清文さん

子どものころの思い出

子どものころの幸せだった思い出は?と問われて、すぐに答えることができませんでした。いろいろな情景を思い出すのですが、私にとって幸せとは「おもちゃを買ってもらった」、「遊園地に行った」、「レストランでお子様ランチを食べた」というようなことではないようです。確かにそれはそれで当時嬉しかったのは間違いないのですが…。

そういえば、小学生のころ夏休み、プールに行って疲れて畳の部屋で昼寝をし、気が付くとお腹にタオルケット。少し離れた場所に現れた首振り扇風機が風を届けてくれていました。ほっぺには畳の跡が。こういうことが何度かあったはず。なんてことのない、ある日の出来事です。当時私が幸せだと思っていたかは疑問ですが、気持ちの良い記憶です。

もう一つ思い出しました。小学校高学年のころ、車で寝てしまった私は、父親に抱きかかえられ布団まで。このとき実は起きていたのですが、目覚めるタイミングを逃した私は寝たふりをしたまま運んでもらいました。親父に抱きかかえられるのはこれが最後だろうとし、「いいかぁ」と思った記憶が蘇りました。まだ親父は生きていますが、あれきり抱きかかえられた記憶はありません。私はこのことを今まで誰にも話したことがありません。40歳になって振り返った幸せな思い出は、子どもの頃に自分が求めていた楽しいこと、幸せとはだいぶかけ離れています。子ども対する愛情というものは、ちゃんと伝わっているということなんでしょうか。用事はありませんが、実家に電話してみることにします。さて、あなたの子どものころの幸せだった思い出はなんですか?

あかがねミュージアム スタッフ 山本清文さん

Hoo-JA!コラムVOL.02・山本清文

 

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